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    病原体が、皮膚、消化管、気道にある自然の防壁を越えて侵入した場合には、犬の第二の防衛能となる白血球が応戦します。白血球による免疫防御系は、驚くほどの能力をもっています。いくつもの種類がある白血球は、つねに血液中を巡回し、事故や感染の発生に備えています。皮膚の刺創などの損傷が起こると、好中球(もっとも多い白血球)が皮膚の防御壁が壊された部位に集まり、侵入してきた微生物を攻撃して退治します。好中球の作用によってできた細胞の死骸は、たちまち、マクロファージ(大食細胞)と呼ばれる白血球が消化します。さらにこのマクロファージは、Bリンパ球と呼ばれる白血球に病原体を輸送します。そして、Bリンパ球が病原体に抗体で“しるしをつける(化学的標識)”ことによって、病原体は、キラーT細胞と呼ばれる大型白血球の攻撃を受けます。キラーT細胞は、その名前が示す通り、病原体を破壊する化学物質を分泌します。すべての細胞の表面には、白血球が認識できる“しるし”があり、この免疫系によって攻撃されないようになっています。この識別機能は、主要組織適合性複合体と呼ばれます。犬の洗練された免疫系に支障をきたすか、打ちのめされたときにだけ、侵入者が入ってきます。しかし、このような状況であっても、予備の防御機能が待機しています。記憶丁細胞と呼ばれる白血球は血液中を漂い、過去に出会った病原体を記憶しています。そして、2度目にその病原体に出会うとすぐ反応し、B細胞を刺激して、侵入者を破壊する抗体を産生します。この過程は、感染病に対してワクチン接種する場合の基本になるものです。 

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