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犬によくみられるホルモン疾患に、甲状腺ホルモンの欠如を起こす甲状腺機能低下症があります。これは250頭に1頭が発症すると報告されています。その5頭のうち1頭の甲状腺機能低下症は免疫介在性であり、甲状腺は免疫系によって、攻撃され破壊されます。甲状腺機能低下症がよくみられる犬種に、コツカー・スパニエルがあり、ドーベルマンとゴールデン・レトリーバーも発症率が高いといえます。これらの犬種に数多く甲状腺機能低下症がみられるのは、人気犬種であることも原因になっているようです。しかし、上に挙げた犬種には、それ以外にもいろいろな免疫系疾患が発症することが知られています。人気犬種であるがゆえに、反応過剰な免疫系をもつ系統を考慮しないで、人が勝手に交配させることも庶困になっているのでしょう。甲状腺機能低下症の犬では、神経や限にさまざまな症状がみられ、下痢も起こします(下枠参照)。甲状腺の約3分の1が破壊されないかぎりは、明らかな症状はみられず、しかも非常にゆっくり進行します。甲状腺機能を一時的に低下させるほかの疾患と同様に、これらの症状も診断することがむずかしいと思われます。甲状腺機能低下症の犬は、身体的な症状の発現と同時に、さまざまな異常行動を起こします。それらには、突然の攻撃、服従、神経質になる、怖がる、無抵抗、易興奮、音に過敏、不安、怒りやすくなる、強迫行動、岐みつき、不機嫌、嗜眠、抑うつなどがあります。ボストンのタフツ大学のNicbolasDodman教授とJean Dodds獣医師によって、問題行動のある319頭のうち208頭の犬に、甲状腺機能低下症のあることがわかりました。大の性格が最近変ってきたという場合には、ホルモン障害の可能性を考えるべきです。プロゲステロン関連性末端肥大症の犬は、プロゲステロンの投与を中止する、または避妊手術をします。 |