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ケンネルコフは、犬伝染性気管気管支炎として知られていますが、さまざまなウイルスおよび細菌を原因とする呼吸器系の伝染性疾患です。各病原体はよく似た症状を引き起こしますが、代表的な症状として、あひるの鳴き声のような特徴的な空咳があります。上部呼吸器道の喉頭、気管および気管支の内側には、繊毛と呼ばれる小さな毛のような突起がありますが、病原体が一時的にこれを破壊することによって、咳をするようになるほか、病原微生物が肺に向かって移動しやすくなります。正常な場合には、繊毛のリズミカルな動きで刺激物が宙に浮き、気道の外に押しやられることによって、気道が守られています。もっとも重要なケンネルコフの原因は、ボルデテラ菌(助托おぬ肋伽[血卸dca)という細菌で、人の百日咳を起こす細菌と近縁関係にあります(p.152参照)。原因ウイルスのなかでもっともー般的なのは、犬パラインフルエンザウイルス(CPIV)および犬アデノウイルス〜2(CAV−2)ですが、後者は犬伝染性肝炎ウイルス(CAV−1)と近縁関係にあります。犬舎や、複数の犬を飼っている場所は、ケンネルコフが伝播しやすい場所となります。ストレス、換気の悪さ、原因となる病原体を保有する犬が近くにいることなどがいずれも有力な要因となります。犬が病原体に空気感染すると、たいてい5日後にはあひるの鳴き声のような激しい咳をするようになります。2日以内に回復する犬もいますが、日和見的な細菌および真菌によってもたらされる合併症によって気管気管支炎にをり、長期間にわたって不快な症状に悩まされる犬もいます。このような病原体は、嗜眠状態、発熱、眼または鼻からの分泌物、食欲低下、粘性の高い唾液の口角への貯留など、さまざまな症状を引き起こします。さらに、犬は吐き気を伴う激しい咳の発作を起こすことがあります。また、ケンネルコフの症状が複雑化して、犬ジステンパー感染症の呼吸に類似した症状を示すことがあります。 |